S13ダブル使用構築 Gファイヤーコントロール

【はじめに】
皆さんこんにちは。あかば(@shun_akaba_)と申します。

今回は12月シーズンのランクマッチ戦ダブルバトルルールにおいて使用した構築の紹介をさせて頂きます。

VGC2020ルールは考察する機会が少なかったため,久しぶりの構築記事の投稿となりますが,目を通して頂ければ幸いです。

使用構築は以下の通りです。

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パーティ画像の通り,ファイヤー(ガラルのすがた)をエースとしたコントロール色の強い構築です。
以下,【構築経緯】【個体解説】【基本選出】の順に詳細を示していきたいと思います。



【構築経緯】

まずは,現行のVGC2021ルール(準伝説等解禁ルール)におけるポケモンの使用率に言及します。
12月における環境の概要を「Pokemon Home」を参照して考察した結果,以下のようになりました。

・初期環境においては「カプ・レヒレ」の使用率が非常に高かったが,かねてより使用率が高かった「レジエレキ」に加えて「サンダー」や「ゴリランダー」等の高スペックかつ,メタ機能を持つポケモンの使用率上昇によって減少。その結果,初期環境からトップメタの一角であった「ウーラオス(いちげきのかた)」がさらに上昇した。

・初期環境に一定数いた「サンダー(ガラルのすがた)」などの威嚇メタポケモンの使用率が低いことから,「ガオガエン」や「ランドロス(霊)」を構築内に採用した威嚇サイクル構築の通りが良くなった。環境に物理ポケモンが多いことも向かい風になった。

・初期環境から注目される「フシギバナ」「コータス」の並びはパワーと無限の勝ち筋を有し,依然として強力である。

トリックルーム要因として「サマヨール」「クレセリア」に代わり「ポリゴン2」の採用率が上昇した。また,それに伴ってエース要因として「ブリザポス」の採用率も上昇した。


次に,これらの環境等を踏まえて構築の軸となるダイマックスエースに求められる要素を考えました。

①自身のプレイスタイルを考慮した際に,ダイマックス時に並以上の火力と耐久が見込める安定感があるポケモンであること。

②環境を加味した際に通りが良く,S操作の要とあるダイジェットを使うことができるポケモンであること。

③相手のS操作の手段に関わらず,積極的に初手から繰り出せるポケモンであること。

④威嚇などのナーフ要因の影響を極力受けないポケモンであること。


これらを満たすポケモンを考えた際に,攻守共に安定した数値を持ち,タイプ一致でダイジェットを使うことができる「ファイヤー(ガラルのすがた)」が挙げられました。(以下,Gファイヤーと表記する)また,対トリルを考えた際に「もえあがるいかり」で怯みを狙ったり,「わるだくみ」で積みの起点にもできます。(※C↓ナーフにも盤面次第で切り返せる)
他の候補としては,耐久降り「ドラパルト」や「サンダー」なども候補に挙げられましたが,前者はミラー時を考えると,相手の持ち物が分からないためピーキーなプレイングを要求され,かつ環境トップである「ウーラオス(いちげきのかた)」が非常に重いこと,後者は相手の構築に「レジエレキ」が採用されていた場合,主力であるダイサンダーを打つことが躊躇されることや,S12終盤において上位勢を中心に多く採用されていたことから研究・対策が進むなどの理由から採用を見送りました。(もちろん,どちらも環境入りが約束されるような強力なポケモン達ではあります。)

次に,「Gファイヤー」と相性が良いポケモンを探しました。Twitterの相互さんに助言を求めた所,「ガオガエン」「モロバレル」が主な候補に挙がりました。
ガオガエン」は皆さんがご存じの通り特性の「いかく」と「ねこだまし」「すてゼリフ」のサイクルが強力で,「わるだくみ」を習得することができる「Gファイヤー」とは非常に相性が良いポケモンです。
また,「モロバレル」は「いかりのこな」によって「Gファイヤー」が苦手なでんき・フェアリータイプの技を自身に集中させるサポーター的役割が非常に強力なポケモンです。さらに環境としてもカプ神の減少やトリル持ち構築の増加によって,向かい風の恩恵を受けるポケモンでもあります。

ここまでを踏まえると,以下のような点が主な懸念要素として上がりました。

①「レジロック」「ウツロイド」など対いわタイプのポケモンがかなり重い。

②数こそ減らしたが,一定数存在する「カプ・レヒレ」への回答が薄い。

③既存の並びであると,「フシギバナ」「コータス」に対する明確な立ち回りが確立されない。(襷やバコウ持ち・催眠を考慮)

④「サンダー」or「ボルトロス」と「ウーラオス(いちげきのかた)」のメジャーな並びに対して不利を強いられる。


これらを踏まえると,構築内に採用した「カプ・コケコ」が②④を,「カミツルギ」が①②を,「ガブリアス」が①③に対する適任であると考え,採用に至りました。これらのポケモン達は比較的ビート性能に優れるため,既存の3匹の課題になるパワー不足も同時に解決されました。また,「レジエレキ」「ランドロス(霊)」を採用しない理由などについては【個体解説】の項に理由や差別化の詳細を示すので,そちらを参照して下さい。

このような理由から今回の6匹の並びが完成しました。



【個体解説】


f:id:shun0727akaba:20201229231849p:plainファイヤー(ガラルのすがた)

・特性      :ぎゃくじょう

・持ち物     :じゃくてんほけん

・性格      :ひかえめ

・実数値(努力値):182(132)‐×-110-165(236+)-145-128(140)

・技       :もえあがるいかり,ぼうふう,わるだくみ,まもる

★調整:S+1で最速121族とスカーフ準速75族抜き,通常時で最速61族抜き


今回の構築の軸になるポケモンです。攻守共に安定した種族値とタイプ致のダイマックス技の両方の恩恵を受けることができるポケモンでした。取り巻きの「ガオガエン」と「モロバレル」でサポートをしながら「わるだくみ」で積み,全抜きをする動きが非常に強力であると感じました。また,対戦相手も積みの隙を作らないプレイを要求されるため,対戦の具体的な内容以外にも貢献する要素は高いと考えます。

技構成に関しては表記の通りで異論は無いと考えます。また,持ち物については「じゃくてんほけん」を持たせることで,場持ちor火力のいずれかが保障されるため非常に好都合でした。仮に発動できない場合であっても「ぎゃくじょう」によるC上昇や「ダイアーク」によるゴリ押しが効く場面が多くあり,特に問題は感じませんでした。

Sラインに関しては,最速「バンギラス」抜きを視野に適切なラインを考察した所,「ダイジェット」を使用した際に最速「エースバーン」やスカーフ持ち「ウオノラゴン」を抜ける実数値128が適切であると判断しました。Sに特化しない場合,これが私の考える最適ラインです。


f:id:shun0727akaba:20201229231902p:plainカプ・コケコ

・特性      :エレキフィールド

・持ち物     :いのちのたま

・性格      :おくびょう

・実数値(努力値):146(4)‐×-121-147(252)-95-200(252+)

・技       :10まんボルトマジカルシャイン,かいでんぱ,まもる

★調整:CSに振り切り

今回の構築におけるアタッカーかつサポート枠です。基本的には「Gファイヤー」が不利を取る「カプ・レヒレ」や「サンダー」に対応するために採用しました。
足りない火力は「いのちのたま」で補いながら,削る動きが強力でした。今回,特筆すべき点は「かいでんぱ」かと思います。従来であれば,「ボルトチェンジ」か「みがわり」などを採用する予定でしたが,対「Gファイヤー」や「サンダー」に対してほぼ無力化できる動きが強力で有効に働く場面が多くありました。

また,「レジエレキ」では無く「カプ・コケコ」を採用する理由の主は対「ボルトロス」「ウーラオス(いちげきのかた)」に強く出るためです。こちら側は「マジカルシャイン」と後述する「ガブリアス」の「ダイロック」で相手の並びを基本的に崩すことができます。しかし,「レジエレキ」の場合「エレキネット」「ダイロック」は相手が「まもる」「あんこくきょうだ」の選択をした場合に明らかなディスアドバンテージが発生するため,有利であるとは言えません。また,余談ですが対「フシギバナ」「コータス」にも催眠の択を強いることができる点も「レジエレキ」には無い強みであると思います。


f:id:shun0727akaba:20201229231925p:plainカミツルギ

・特性      :ビーストブースト

・持ち物     :こだわりハチマキ

・性格      :ようき

・実数値(努力値):142(60)‐213(92)-152(4)-×-64(100)-177(252+)

・技       :リーフブレード,スマートホーン,せいなるつるぎ,みきり

★調整:HB⇒A197のランドロス(霊)のばかぢから確定耐え
    HD⇒C152のフシギバナのダイアースを確定耐え

今回の構築におけるフィニッシャーです。「Gファイヤー」が不利を強いられる「レジロック」「カプ・レヒレ」などに強く,「こだわりハチマキ」を持たせることで等倍以上のポケモンはほぼ確定1発で倒せる火力があります。また,「みきり」を採用した理由は相手のダイマックスターンを凌ぐ際に選択したり,万が一ダイマックスさせた際に「ダイウォール」を選択できたりと行動の幅が広がるために採用しました。「つばめがえし」などは素の火力が低いため拘るメリットがほぼありません。


f:id:shun0727akaba:20201229231936p:plainガブリアス

・特性      :さめはだ

・持ち物     :とつげきチョッキ

・性格      :いじっぱり

・実数値(努力値):207(188)‐198(236+)-116(4)-×-110(36)-128(44)

・技       :ワイドブレイカー,じしん,いわなだれ,ほのおのキバ

★調整:H⇒16n-1調整,A⇒11n調整,S⇒「Gファイヤー」と同様,残りBD

今回の構築におけるアタッカー枠です。「Gファイヤー」が不利な「レジエレキ」をはじめとしたでんきタイプポケモンや「ウツロイド」「ヒ―ドラン」などに強い枠として採用しました。また,「フシギバナ」「コータス」の並びにも強く,明確な立ち回りを確立するためにどうしても必要な枠でありました。

技構成に関しては,「このゆびとまれ」をされた場合でも相手に打点が取れる「じしん」とダイマックス時に「ダイロック」のベースとなる「いわなだれ」は確定。また,「ナットレイ」「カミツルギ」などに対して打点を持つことができる「ほのおのキバ」(ダイマックスを加味しない場合は「かえんほうしゃ」でも可)とタイプ一致で削りを入れながらナーフできる「ワイドブレイカー」を採用しました。環境的にドラゴンタイプのポケモンが多く無いことから「ドラゴンクロー」が欲しい場面はあまり無く,「ワイドブレイカー」の方が汎用性がある場面が多く見られました。
持ち物に関しては場持ちを重視するために「とつげきチョッキ」を採用。調整に関してはHAベースで火力と場持ちを両立させる型が今回の構築には適しておりました。

最後に「ランドロス(霊)」では無く「ガブリアス」を採用する理由としては「①「まけんき」+「ウツロイド」等」の並びに対して初手出しできず,序盤の主導権を握られる事への懸念」「②タイプ的にほのお半減・浮いていない条件を満たすポケモンであるため,「エレキフィールド」下で「フシギバナ」「コータス」の並びに強く出ることができる」理由から採用しました。


f:id:shun0727akaba:20201229231947p:plainガオガエン

・特性      :いかく

・持ち物     :フィラのみ

・性格      :しんちょう

・実数値(努力値):200(236)‐136(4)-111(4)-×-155(244+)-83(20)

・技       :フレアドライブ,バークアウト,すてゼリフねこだまし

★調整:H⇒4n,S⇒同速意識,残りHDベースに調整。

今回の構築におけるサポート枠です。サンムーン時代から愛用していた調整で,珠持ち「フシギバナ」の「ダイアース」を確定で耐えるなど,鬼のような特殊耐久で数多くの場面で活躍してくれました。技構成に関しては,サポート型なので基本異論は無いと考えます。

先述した通り,積み技を持つ「Gファイヤー」との相性は最高で,このポケモンを軸にする場合は必須のポケモンであると感じました。


f:id:shun0727akaba:20201229232001p:plainモロバレル


・特性      :さいせいりょく

・持ち物     :バコウのみ

・性格      :なまいき

・実数値(努力値):219(236)‐×-107(132)-105-129(140+)-×

・技       :クリアスモッグ,キノコのほうし,いかりのこな,まもる

★調整:H⇒3n最大効率,HD⇒C150ラプラス「ダイアイス(ふぶき)」確定耐え,残りB

今回の構築におけるサポート枠です。技構成に関しては異論無いかと思います。調整については,BD共にある程度保障をかけた型で,非常に使いやすかったです。
今後は,環境を見ながら珠「レイスポス」の+1「ダイホロウ」まで耐える調整が必要であると使っていて感じました。

また,「ゴリランダー」「レジエレキ」の増加によって「キノコのほうし」が通る場面が多くあり,使い勝手が良いと感じましたが「ぼうじんゴーグル」「ラムのみ」持ちの増加が予想されるため,思わぬ痛手を受けないように留意する必要があると感じます。



【基本選出】

<先>「Gファイヤー」「ガオガエン」or「モロバレル

<後>「先発していないサポート枠」+「カミツルギ」or「カプ・コケコ」or「ガブリアス


【最後に】
最後まで記事に目を通して頂きありがとうございました!ぜひ,皆さんのご意見等をTwitterのリプ欄やDM等でお聞かせ頂ければ幸いです。

1月は久しぶりに大会に向き合いたいと思っています。剣楯環境が本当に苦手で苦しんでおりますが,楽しく頑張ることができたら嬉しいです笑

今年もありがとうございました!そして2021も宜しくお願い致します!